2009年5月25日月曜日

馬鹿でも欲しがるよう作っとけよ、馬鹿でも使えるよう作っとけよ


 新しいバイクのモックアップを作っていると、本田宗一郎がやってきて、『エアクリーナーボックスはどこだ?』と聞くので、『フレームのこの場所に付きます。』と答えると、『そんなところに付けて、人が乗ったら折れてしまうじゃないか!』と言うので、『ちゃんと強度計算は出来ているから、大丈夫なんです』と説明したところ、『人が見て不安に感じる物を作っちゃダメなんだ!』と仰った。
 実際には問題無くても、"問題無い、大丈夫、安全"という情報(ないし経験)を持たない人からすれば、"大丈夫そうには見えない外見"はイコール"大丈夫では"無いと。
 詳しく知らない(興味が薄い)人にもモノは売らないと行けないんだから、デザイナーは自身がデザインした物に客観的な視点を持ち、「コレを見た人はどう思うのだろう?果たして説得力のあるデザインなんだろうか?」と偶には立ち止まって考え直すことも大事なんでしょうね。



 話は変わって、これもうろ覚えなんだけど………


 ソビエトの偉いおじさんが、カラシニコフが試作した銃を撃った時の話。その銃はM1ガーランドの様に弾倉が空になるとクリップが自動的に排出される形式で、試射した時も、最後の薬莢と一緒にクリップも飛び出した。
 すると偉いおじさんは、草むらに落ちたクリップを探し始めた。その場にいた一同『?』って顔になったんだけど、おじさん立ち上がってこう言うんだわ。
 『兵隊には学のないヤツもいるんだから、いきなり部品が飛び出したら銃が壊れたと思って、今みたいに飛び出した部品を探すだろう。これダメ!』



 カラシニコフは『コイツ馬鹿じゃねーの?』と思う一方で、この一言は参考になったそうです。実際貧しい環境で育った人も多かった(識字率ってどのくらいだったんでしょう?)でしょうし、アメリカも英語の不自由な兵士にも分かりやすいようにM16の説明書をマンガにしたし、銃みたいに極度の緊張下で扱われ、どんな人にでも扱いやすいく作らなければいけない物は、ここまで考えなければいけないんでしょう。
 特に小火器では、開発者が陥りがちな「慣れればこっちの方が効率的だよ」では無く、「何も知らなくても最低限使えるよ」の方が良いとされています。特に当時はその傾向が強かったんでしょうね。

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